映画「ブラック・フォン」の紹介
2021年アメリカで公開された映画。原作は、ジョー・ヒルの「黒電話」気弱な少年フィニーは、連続誘拐事件を起こしている犯人のターゲットになり、誘拐されてしまう。
閉じ込められた地下室には断線した黒電話があった。断線しておりどこにもつながっていないはずのその電話は、なぜか時折ベルがなる。
電話口では、その場所で死んだ子供が、少年に中に伝えようとしている。
監督のスコット・デリクソンは「地球が静止する日」「フッテージ」「ドクター・ストレンジ」等を監督。この原作を書店で手に取り、この物語に惚れ込んだとのこと。
「連続殺人犯のストーリーとゴーストストーリーの組み合わせが大好きなんだ」と監督は言う。
原作のジョー・ヒルはスティーブン・キングの次男。息子であることを隠すために本名を簡略化し「ジョー・ヒル」をペンネームにし活動。処女作にして短編集「20世紀の幽霊たち」が英国幻想文学賞など数々の賞を受賞する。
制作:ジェイソン・ブラム(ブラムハウス・プロダクション)
監督:スコット・デリクソン 原作:ジョー・ヒル「黒電話」
キャスト:イーサン・ホーク メイソン・テムズ マデーリン・マックグロウ
映画のあらすじ(ネタバレあり)
1978年、コロラド州デンバー。野球の試合が行われている。逆転のピンチを背負ったマウンド上の少年フィニー。それを応援する妹のグウェン。2ストライクまで追い込むが相手打者のブルースにホームランを決められ負けてしまう。追い込むフィニーであったがブルースは彼の腕を称える。
自転車で街を走るブルース。彼は街での評判も良くすれ違う人から挨拶され愛想よく返事を返していく。走っている途中、ブルースの前に黒いバンが止まり、ブルースは足を止める。
フィニーとグウェンの兄妹は父親と3人で暮らしている。父親はアルコール依存症で精神的に不安定であり兄妹は、大きな音を立てないように父親の機嫌を気にして暮らしている。
「ブルースが行方不明になっている」兄妹がそう話しながら登校している途中、喧嘩が行われていた。いじめっ子のムースがロビンという少年に喧嘩を売っている。ロビンは小さな体格だが喧嘩が強く、ムースを血まみれになるまで打ちのめす。兄妹は喧嘩を見終わり”グラバー”と呼ばれている誘拐犯について話しながら学校へ向かって行く。
授業が終わり教室から逃げるように出ていきトイレの個室に籠るフィニー。3人組の少年たちにいじめられそうになるも、喧嘩を終えて拳を血まみれにしたロビンが現れる。
ロビンは3人にくぎを刺しフィニーはいじめられそうになったところを回避する。フィニーはロビンに感謝を伝えると、ロビンはいじめに立ち向かえと助言し2人は絆を深める。
校長室に呼ばれるグウェン。2人の刑事からグウェンがよく見る行方不明になった子供たちの夢について聞かれる。黒い風船など告げるが夢についてはわからないままだった。
翌日、フィニーが目を覚ますと父親がグウェンをベルトで叩いている所に遭遇。父親の職場に刑事が来て、グウェンの夢と少年たちの誘拐事件の関係について聞かれそのことで怒り叩いている。フィニーはやめるよう父親に懇願する。
ロビンは黒いバンから降りる男を見かける・・・。
その夜、父親は2人の母親は予知夢と思われる夢を見ていた事を伝え、グウェンの夢は夢であり現実ではないと??りつけるのだった。
後日、近所ではロビンが行方不明になったと知らせる張り紙が貼られていた。ロビンが失踪したことでいじめっ子たちはフィニーをいじめ始める。フィニーに加勢したグウェンは相手の1人の頭を石で殴り出血させるも他の2人に暴行されてしまう。
その後、フィニーは授業で行われる「かえるの解剖」のパートナーに片思いしているドナと組むことになる。放課後そのことについて茶化されるフィニー。
グウェンとわかれ家へと向かうフィニー。そこで黒いバンと遭遇。わざとらしく買い物袋から食料品を落としフィニーと会話を始める。バンの中に黒い風船があることに気づき男に話すとドアを開けフィニーに襲い掛かる男。咄嗟に持っていたロケット型のライトで男の腕を傷つけるが口にスプレーを噴射され意識を失ってしまう。
目を覚ますとフィニーの目の前には仮面を被ったグラバーが立っていた。フィニーの事を特別な存在だと話すと扉を閉めいなくなる。周囲の調査を始めると、ここは地下室で小さな窓があり、トイレがあった。そして壁には”断線された黒い電話”があった。
突如電話が鳴る。恐る恐る電話に出るとどうやら相手は野球での対戦相手で行方不明になっていたブルースだとわかる。しかし彼は自分の名前も生きていた頃の記憶もほとんど覚えていないようだった。
彼は床のタイルを動かして掘れる場所があると伝え電話は切れる。彼の言葉にしたがうと確かに言っていた所に掘れる場所があった。そしれフィニーはひたすら掘り続け土をトイレに流す事を繰り返す。
グウェンは夜、夢を見る。それはブルースの生い立ちなどがフラッシュバックのように流れ、最後は彼が誘拐されるシーンだった。
とある日、グラバーは食べるものを持ってきて戻っていく時、鍵をかけずにいなくなった。フィニーは扉を開けるが電話が突然鳴り響く。電話に出ると「それは罠だ」と告げる。電話の相手はビリーという地元で新聞配達人をしていた少年。
かれは扉を開けて上にあがるとグラバーが待ち受けていると話してくれた。そしてビリーは、脱出に使えるケーブルの場所を教えてくれた。彼の助言通りの場所を探るとケーブルが確かにあり、それを使い窓からの脱出を行うが失敗に終わってしまう。
グウェンは、その夜犬と一緒に新聞を配っているビリーの夢を見る。またさらに鮮明に見えるグラバーの家らしき夢までも見る。
グウェンは父親に予知夢について聞くと、父親はグウェンの母親も同じように幻のような夢を見ていた事、その夢が彼女を追い詰めてしまったこと、グウェンが同じようになってほしくない事を告げる。
誘拐事件を捜査している2人の刑事はこの事件を独自に調査しているマックスという男の家に行き話を聞くが、彼のチンプンカンプンな推理話をきかされ有力な話を聞くことが出来ずマックスの家を出ていく。マックスは刑事が帰った後ドラッグを吸引する。
そして彼の足元、地下室にはフィニーがいた。
地下室にグラバーが現れ名前を聞く。フィニーは嘘の名前を言うとグラバーは怒り新聞を投げる。新聞にはフィニーの行方不明を知らせる記事があった。
グラバーがいなくなると電話が鳴る。次はグリフィンという名前らしい。彼が言うには気づかれずに扉まで行ってもドアには鍵がかかっていることを伝える。
壁に開錠するためのナンバーを書いてあると話すとフィニーは言われた壁を確認する。壁には「23317」。グリフィンに確認するが組み合わせは思い出せないと話す。鍵までたどり着き試すしかないのだった。
地下室の扉を開け上へあがっていくとグラバーは眠っていた。起こさないよう慎重に足を進めるフィニー。どうにか外へとつながっている扉へたどり着く。そこにはグリフィンの話通り鍵があった。思いつく限りのパターンを試す。
何度か試していると鍵が開くも、その時の音でグラバーの飼っている犬に気づかれ吠えられてしまう。外へ飛び出し逃げるフィニー。犬の吠える声で気づき追いかけるグラバー。足の速さではかなわずフィニーは捕まってしまう。
再び地下室へ戻されたフィニー。そこのまたもや電話が鳴る。相手はヴァンス・ホッパー。地元の不良らしい。彼は怒っていた。
グウェンの予知夢では、彼はピンボールにてハイスコアを狙っていた。しかしそこに2人の少年がじゃれあっているうちにピンボールの台にぶつかってしまい、ハイスコアにはならずゲームオーバー。激怒したヴァンスは少年たちと喧嘩になってしまう。
そして1人の少年の腕にナイフで「7741」と刻む。ヴァンスは逮捕されその様子を見ているグウェン。彼女は夢の中で行動できるようになっていて、ヴァンスと一緒にパトカーに乗る。パトカーの中で無線でフィニーと会話するヴァンス。あの時少年の腕に刻んだ数字はグラバーの住所なのか。
ヴァンスの話から壁の向こうに冷凍庫がありそこから出れると助言をもらう。その言葉を信じて壁を破壊し冷凍庫に入っていた肉を取り、冷凍庫の扉を開けようとするが扉は固く閉ざされており開かない。心が折れてしまったフィニー。
泣いているとそこへ電話が鳴る。フィニーは電話に出ると相手はなんとロビンだった。ロビンは記憶を失っておらず「泣くな」と伝える。ロビンはフィニーに生前での想いを伝え、今こそ自分で自分を守るときと励ましフィニーの諦めかけていた気持ちを奮い立たせる。
ロビンはフィニーに電話でグラバーを倒す方法を教える。どのように動くのかなど練習する。そして電話の受話器部分に土を入れ重さを増す助言をして電話は切れる。
グウェンは予知夢にしたがいグラバーの家を雨の中探していた。諦めていた所に誘拐された少年たちの霊が目の前に現れる。そこは予知夢と合致するグラバーの家だった。グウェンは刑事に連絡する。そこへ向かう刑事たち。
その頃マックスはドラッグの効果なのか急に閃き、行方不明の少年たちは実は自分の家の地下室にいるのではないのかと気が付く。地下室へ行くとフィニーがそこにいた。
マックスはフィニーを保護しようとするも、その後ろから現れたグラバーに斧で頭を割られ殺されてしまう。
家の操作を行う刑事たち。しかし家の中は人がおらず刑事たちはただの空き家だと言う。
グラバーはフィニーを殺しにかかるが、フィニーは電話での助言と自分での行動で助かる。ケーブルでグラバーの足を引っかけ、掘っていた穴に落とし足を怪我させる。
そしてロビンから教わった通り受話器で殴りつけ最後は受話器から伸びている線でブラバーの首を絞めつけた。
帰ろうとする刑事たち。しかし1人の刑事が地下への扉を発見する。地下へ降りて行くとそこには殺された少年たちが埋められていた。そして1人分だけ掘られたままの穴があった。
首を絞め続けるフィニーそこへ突如鳴る電話。首を絞めつけたまま受話器をグラバーに近づけるフィニー。受話器からはグラバーが殺した少年たちの怨念の声が響く。最後はグラバーの首を折り殺す。
地下から上がるフィニー。扉の鍵を開け外へ出る。保護されたフィニーにかたを寄せるグウェン。そこへ2人の父親が現れ泣きながら2人への謝罪を述べる。
学校へ登校するフィニー。以前より自信に満ちた表情をしている。彼は街で伝説の男のようになっていた。彼をいじめていた少年たちもただ見ることしか出来ない。そしてフィニーはクラスでドナに会うと「フィンと呼んで」とドナに言う。
感想(ネタバレあり)
とりあえず最高に面白かった。
予告だけ見ると結構ホラー要素強いのかなとおもったのですが、観終わってみるとそんなことなく、すごい心温まる話でした。
場面場面驚かせてくるところもあったのですが、話が分かってくるうちにフィニーを助けたい幽霊たちの行動がジーンときました。
電話での助言は1個では助からず全てを使ってグラバーを倒す過程だったり、グウェンがグラバーの家を探しいるところに霊が全員集合するシーンなど特に胸に来るものがありました。
原作も読んでみたくなりましたね。
まとめ
「ブラック・フォン」ホラー苦手な方でも楽しめる内容になっていますし是非観て欲しい作品です。個人的にはブラムハウス作品も好きなのでそれも含めてもおススメしたい作品が1本になりました。
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